大阪健康コラム
カンピロバクターの潜伏期間と症状は?治療と胃腸に優しい食事法
カンピロバクター感染症の潜伏期間、症状、治療方法や食事のポイントを解説します。

カンピロバクターは食中毒の原因として最も多い細菌のひとつです。
この記事では、その潜伏期間や症状、治療法に加え、回復を支える胃腸に優しい食事法を紹介します。
正しい知識を身につけ、感染予防と健康維持に役立ててください。
カンピロバクターとは?
カンピロバクターは、主に鶏や牛、豚などの家禽・家畜の腸内に存在する細菌で、人の肺や腸管内では増殖せず(腸管内のみ増殖)、乾燥に弱く、通常の加熱で死滅することが知られています。
比較的少数の菌(数百個程度)でも感染する力がある点も重要です。
潜伏期間:感染から発症までのタイミング
通常の潜伏期間は1~7日(平均2~3日)とされ、他の食中毒菌に比べやや長めなのが特徴です。
このため、「いつ食べたどの食材が原因か覚えていない」という事例も少なくありません。
主な症状と経過
カンピロバクター感染症の主な症状は以下の通りです。
- 下痢(しばしば血便を伴う)
- 腹痛
- 発熱
その他に、悪心・嘔吐・頭痛・悪寒・倦怠感など幅広い症状が見られます。
多くの場合、1週間ほどで自然に回復します 。
高齢者や乳幼児、免疫力が低下している方では重症化のリスクもあるため、注意が必要です 。
合併症への注意:ギラン・バレー症候群(GBS)
ごく稀ですが、感染から数週間後にギラン・バレー症候群(手足や顔の麻痺、呼吸困難などを起こす神経合併症)発症することがあります。
よって、回復後しばらくの間も、体調の変化には引き続き注意が必要です。
治療法:基本は対症療法
- 自然治癒が多い
→ 多くの場合は特別な治療は不要で、対症療法が中心 - 脱水への対応が最重要
→ 下痢や発熱で水分・電解質が失われやすいため、経口補水液などでこまめに補給
→ 重度の場合は輸液(点滴)による治療が必要となることもある - 下痢止めは使用しない
→ 菌の排出を妨げ、症状が長引いたり悪化するおそれがあるため - 抗菌薬の使用は限定的
→ 重症例でのみマクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)を検討
→ ニューキノロン系は耐性菌増加のため第一選択にはならない
胃腸に優しい食事

回復期には、体力を回復させるために、栄養価の高い食材を摂取することが重要です。
具体的には、以下のような食材が効果的です。
回復期の食事ポイント
- おかゆ、うどん、雑炊など消化に優しい炭水化物を中心にする
- 豆腐、白身魚、皮なし鶏肉(中心部まで十分に加熱)などのたんぱく源を摂る
- バナナ、すりおろし・加熱したリンゴ、プレーンヨーグルトなどで栄養補給
- 冷たい飲み物、脂っこい食品、刺激の強い食品は避ける
予防のポイント
鶏肉などの調理・衛生管理
- 鶏肉は中心部までしっかり加熱(75℃以上、1分以上が目安)
- 調理器具や容器は使い分け、使用後は十分に洗浄・乾燥する
- 手洗いや消毒を徹底する
感染防止の注意点
- 生食(特に鶏刺しや鶏レバーなど)は避ける
- 犬や猫などペットに触れた後は必ず手を洗う
感染が疑われる場合は、専門医への相談を忘れずに行いましょう。適切な診断と治療が、早期回復につながります。
特に重症化のリスクがある方は、早めの受診が重要です。
カンピロバクター感染症は、日常のちょっとした注意や正しい知識で防ぐことができる疾患です。食事や生活習慣に気を配り、体調の変化を見逃さず行動することが、健康を守る第一歩となります。