大阪健康コラム
気管支炎ってどんな病気?原因・症状・治し方
気管支炎の原因・症状・治し方などについて解説。

咳が続いたり、痰が絡んだりする症状を経験したことがある人は多いのではないでしょうか。
特に寒い季節や季節の変わり目には、こうした呼吸器の不調が目立つようになります。
その中でも「気管支炎」は子どもから高齢者まで幅広い年代で見られる一般的な呼吸器疾患のひとつです。
気管支とは、空気を肺に運ぶ管のような役割を持つ器官であり、ここに炎症が起きることで咳や痰、時には発熱といった症状が現れます。
一見すると風邪の延長のように思われがちですが、気管支炎には急性と慢性の2つのタイプがあり、それぞれ原因や経過、対処法が異なります。
特に慢性的な咳が続く場合は、生活の質を大きく損なうこともあり、注意が必要です。
この記事では、気管支炎とはどのような病気なのか、主な症状や原因、治療法、そして日常でできる予防法までを詳しく解説します。
咳や呼吸のトラブルが続いている方、または家族に同様の症状がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
気管支炎とはどんな病気?
気管支炎とは、気管から肺へとつながる気管支という空気の通り道に炎症が起こる病気です。
炎症が起こると粘膜が腫れて分泌物が増えるため、咳や痰といった症状が出ます。
特に咳が主な症状で、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。
気管支炎には大きく分けて急性と慢性の2種類があります。
急性気管支炎は主にウイルス感染によって発症し、風邪に似た症状とともに短期間で治癒するのが特徴です。
一方、慢性気管支炎は数か月以上にわたって咳や痰が続くもので、慢性的な気道の炎症が原因です。
この病気は誰にでも起こる可能性がありますが、喫煙者や高齢者、呼吸器系に疾患がある人は特に注意が必要です。
急性気管支炎の特徴と原因
急性気管支炎の多くはウイルスによる感染が原因で発症します。
代表的な原因ウイルスには、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルスなどがあります。
これらのウイルスは、風邪やインフルエンザと同じように飛沫感染によって広がります。
発症のきっかけは風邪と同じように喉の痛みや鼻水などで始まり、その後に乾いた咳が出て、数日以内に痰を伴う咳に変化するのが一般的です。
熱が出ることもありますが、必ずしも高熱になるとは限りません。
大人の場合は発熱がないことも多く、だるさや軽い胸の痛みを訴える人もいます。
通常は1週間から10日ほどで自然に回復しますが、咳だけが2〜3週間残ることもあります。また、細菌の二次感染を併発した場合は、症状が長引く傾向があります。
その場合は抗菌薬の投与が必要になることもあります。
慢性気管支炎とは?長引く咳に注意
慢性気管支炎は、3か月以上にわたり咳や痰が続き、それが2年以上繰り返される状態をいいます。
主な原因は喫煙であり、タバコの煙によって気道に慢性的な炎症が起こることで発症します。
また、大気汚染や職場での粉じん、化学物質の吸入なども発症の要因になることがあります。
症状としては、朝方に痰を伴う咳が多く出るのが特徴です。
進行すると日中も咳が続き、呼吸が苦しくなることがあります。
重症化すると肺気腫や慢性閉塞性肺疾患(COPD)と診断されることもあり、生活の質が著しく低下します。
治療の基本は原因となる刺激の除去です。
まず禁煙が最も重要であり、それだけで症状が大きく改善する人もいます。
さらに、気管支拡張薬や去痰薬、ステロイド吸入薬などが用いられることがあります。
呼吸リハビリテーションや、在宅酸素療法が必要になるケースもあります。
慢性気管支炎は進行性の病気であるため、症状が軽いうちに医療機関を受診し、生活習慣の見直しと適切な治療を受けることが大切です。
気管支炎は人にうつる?感染の可能性について
気管支炎が人にうつるかどうかは、その原因によって異なります。
急性気管支炎 | 慢性気管支炎 | |
主な原因 | ウイルス感染 (風邪やインフルエンザなど) |
喫煙、大気汚染、長期的な気道への刺激 |
感染性 | あり (他人にうつる可能性あり) |
なし (他人にうつらない) |
感染経路 | 飛沫感染・接触感染 | 感染によるものではない |
影響を受けやすい人 | 高齢者、子ども、免疫力の低い人 | 喫煙者、長期的に大気汚染にさらされている人 |
予防策 | 手洗い・マスク・咳エチケット・人混みを避ける | 禁煙・空気環境の改善・風邪予防(重症化を防ぐ) |
特徴 | 急に咳や痰が出る 数日〜1週間程度で改善することが多い |
咳や痰が長期間続く (3か月以上が年に2回以上など) |
気管支炎のタイプによって感染リスクは異なりますが、日常的な予防対策や生活習慣の見直しが、周囲への感染拡大防止やご自身の健康維持につながります。
気管支炎を防ぐには?日常でできる予防法

気管支炎を予防するためには、日常生活での基本的な感染対策と、呼吸器に対するケアが大切です。
基本的な感染対策を徹底する
- こまめな手洗い・うがい
- マスクの着用
- 特に冬場や乾燥する季節は注意
室内環境を整える
- 加湿器を使い、湿度を50〜60%に保つ
- 定期的な換気を行う
禁煙を徹底する
- 喫煙は気管支炎の発症・悪化リスクを高める
- 受動喫煙も有害なため、家庭内の喫煙環境を見直す
ワクチン接種を受ける
- インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンが有効
- 高齢者や基礎疾患のある人は特に推奨
免疫力を高める生活を心がける
- バランスのとれた食事
- 十分な睡眠
- 適度な運動
- ストレスをためず、リラックスする時間を持つ
気管支炎は、一時的な咳で済むこともあれば、慢性的な病気へと進行してしまうこともある、非常に身近でありながら油断できない呼吸器疾患です。
急性の場合、多くはウイルスによるもので自然に治ることがほとんどですが、咳が長引いたり、痰の色や量に変化があったりした場合には、別の病気が隠れている可能性もあるため、早めの医療機関受診が重要です。
慢性気管支炎は進行性であり、放置すれば生活の質を大きく下げ、場合によっては肺機能の低下を招くこともあります。
しかし、適切な治療と生活習慣の改善によって、進行を抑えたり症状を緩和したりすることが可能です。
健康な気管支を維持するためにも、日々のちょっとした習慣を見直すことが大切です。
気になる症状があるときには、自己判断で済ませず、早めの受診を心がけましょう。