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大阪健康コラム

2025.10.10

ワクチンを打っても抗体ができないのはなぜ?

健康管理

予防接種の種類・効果・抗体検査を徹底解説します。

予防接種を受けたのに「抗体ができていない」と言われ、不安になった経験はありませんか。ワクチンは感染症を防ぐ重要な手段ですが、必ずしも全員に十分な免疫がつくわけではありません。
この記事では、予防接種の目的、抗体検査の意義、代表的なワクチンの種類、インフルエンザ予防接種の詳細、そして抗体ができにくいケースについて整理して解説します。

ワクチンを打っても抗体ができないのはなぜ?

ワクチンを接種しても、個人差によって抗体が十分にできないことがあります。要因としては以下が挙げられます。

  • 加齢による免疫応答の低下
  • 肥満や栄養状態の影響
  • 慢性疾患(糖尿病、腎疾患、肝疾患など)
  • 免疫抑制薬の使用
  • 遺伝的な体質の違い

例えばB型肝炎ワクチンでは、40歳未満での抗体獲得率は約86%ですが、40歳以上では約67%と低下することが報告されています。十分な抗体が得られない場合には、追加接種や再接種が検討されます。

予防接種の目的と抗体検査とは

予防接種は、ウイルスや細菌の一部をワクチンとして接種することで、体に免疫をつけ、感染症の発症や重症化を防ぐ仕組みです。日本では「予防接種法」に基づき、定期接種と任意接種が行われています。

抗体検査は、体内に抗体が存在するか、またその量が十分かを確認する検査です。ワクチン接種歴が不明な場合や、妊娠前の抗体確認などで実施されます。ただし「抗体がある=完全に感染を防げる」というわけではなく、目安として用いられることに注意が必要です。

代表的な予防接種の種類と効果の持続期間

風疹ワクチン

風疹は発疹と発熱を伴う感染症で、妊婦が感染すると胎児に先天性風疹症候群を引き起こす可能性があります。1回の接種で約95%が免疫を獲得しますが、2回接種がより確実です。妊娠を希望する女性は、抗体検査を受けて不足があれば接種を推奨されています。

麻疹(はしか)ワクチン

麻疹は非常に感染力が強く、免疫のない人が感染するとほぼ必ず発症します。肺炎や脳炎など重い合併症を伴うこともあります。1回の接種で約95%に免疫がつき、2回接種でさらに効果が高まります。

インフルエンザ予防接種|時期・効果・副作用・費用

インフルエンザは毎年流行する感染症で、高熱や関節痛、倦怠感など強い症状を引き起こします。特に高齢者や基礎疾患のある人は重症化リスクが高いため、予防接種が推奨されています。

  • 接種時期:流行前の10月~11月が望ましい
  • 効果の持続:接種後2週間で抗体ができ、約5か月持続
  • 対象:成人は1回、小児(13歳未満)は2回接種推奨
  • 副作用:注射部位の赤みや腫れ、軽度の発熱は数日で改善することが多い。重篤な副反応はまれ
  • 費用:自費で3,000〜5,000円程度。高齢者は自治体の助成制度を利用できる場合あり

このようにインフルエンザワクチンは、本人の感染予防だけでなく家族や周囲への拡大防止にも有効です。

水痘(水ぼうそう)ワクチン

子どもに多い感染症ですが、大人がかかると重症化しやすく、肺炎などを合併することがあります。妊婦が感染すると胎児に影響が及ぶため、抗体がなければ接種が必要です。

肺炎球菌ワクチン

高齢者の肺炎の原因となる肺炎球菌感染症を予防します。65歳以上や基礎疾患を持つ人に接種が推奨されています。

ワクチンの種類:生ワクチンと不活化ワクチン

ワクチンは大きく2種類に分けられます。

生ワクチン

ウイルスや細菌を弱毒化した形で接種し、軽い「模擬感染」を起こして免疫を誘導します。比較的強い免疫を得やすいですが、体調が悪いと副反応が出やすい可能性があります。例:麻しん・風しん・ポリオ(弱毒株型)など。

不活化ワクチン

病原体を完全に不活化したり、その抗原の一部を使って接種します。感染性はありませんが、生ワクチンに比べると免疫獲得が弱いこともあり、複数回の接種が必要な場合があります。例:インフルエンザ、日本脳炎、百日せき、破傷風など。

B型肝炎ワクチンで抗体がつかないケース

B型肝炎は血液や体液を介して感染するウイルスです。ワクチン接種により感染を予防できますが、年齢や体質により抗体が十分につかないことがあります。免疫不十分と判定された場合には、医師の判断で追加接種が検討されます。

生ワクチンと不活化ワクチンの違い

生ワクチン

毒性を弱めた病原体を接種し、実際に軽い感染を起こして免疫を誘導。強い免疫が得られるが、副反応に注意が必要。対象例:麻疹、風疹、ポリオ、BCG。

不活化ワクチン

病原体を完全に不活化して使用。感染性はなく安全性が高いが、複数回接種が必要な場合がある。対象例:インフルエンザ、日本脳炎、百日咳、破傷風。

予防接種は自分のため・周囲のために受けるもの

予防接種は、自分が感染症にかからないためだけでなく、周囲への感染拡大を防ぐ社会的役割も担っています。特に妊婦、乳児、高齢者など重症化リスクが高い人を守るためには、家族や社会全体での接種が重要です。
厚生労働省や国立感染症研究所の最新情報を確認しながら、抗体検査を活用し、自分に必要なワクチンを計画的に受けていきましょう。